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「春と食欲と山菜」

山村留学指導員 横山みのり

 私にとって、春は天ぷらの季節である。この時期になると、センターの子どもたちが、両手いっぱいの山菜を、毎日のように収穫してくるからだ。

 大岡では、毎年様々な山菜が採れる。ウド、タラの芽、フキノトウ、ノカンゾウ...都会から来た子どもたちにはなじみのないこの植物たちは、味に多少の癖はあれど、その食感と、青く爽やかな香りには、抗いがたい魅力がたくさん詰まっている。そして、山菜は雪深い山林で生きる人々の貴重な食糧でもあるため、この時期は大岡の誰もが山菜ハンターとなり、山へと繰り出していく。
 それは学園生も例外ではなく、学校でもセンターでも、空き時間があれば「あれはあそこにあったよ。」「これはどこで採れるかな?」と、子どもたちの間で情報を共有し、数人で連れ立って山へとかけていく。藪(やぶ)を分け入り、斜面を下り、手足を傷だらけにしながら山菜を集めては、目を輝かせて食堂へ駆け込んでくるのだ。
 ある学園生が「知らない物を食べてみたい。そして、食べるならみんなでおいしく食べたいんだ。」と言っていた。こうしておなかを空かせながら歩きまわり、夢中になって食材を探し求める子どもたちの姿は、人間のもっとも原始的な姿であるように思う。そして、育てる会の理念である「生きるために食べる」を実践しているのではないだろうか。
 いつか学園長がつぶやいた言葉がある。「その日に採れたものは、その日のうちにいただく。それがその食材の一番おいしい食べ方だ。」と。その言葉を思い出しながら、私は今日も山菜の群れを油に投じる。来年の春も、私は山菜を揚げているのだろう。

写真:山菜を探す子どもたち
山菜を探す子どもたち















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