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私だけの「シーハイル」

山村留学指導員 山口楓雅

「自分のスキーを見せて!」
 スキー活動の始まりに声をかけた。子どもたちの十人十色な滑りを眺めながら、冒頭の言葉を自問する。まだ未熟な身、自分のスキーが見つかっていないというのに、この言葉をかけるのは無責任ではないか。そんな迷いが生じていた。

 アルペンスキー。その奥深さを楽しみつつも「これは私のスキーではない」という本音が練習の邪魔をする。強者だらけの世界に対する劣等感、そして現代スキーと自分の世界観との相違が、自分だけの滑りを渇望させていた。個性を見出すため、自分のスキー哲学探しの旅へ出発。様々な界隈(かいわい)を覗(のぞ)き込む。結果、終着地で得たのが「単板一本杖テレマーク」という、スキーの原点への挑戦権だった。
 単板とは、木の一枚板で作られたスキー板。カンダハーと呼ばれる締具に革のブーツを装着する。古道具マニアの私はこれを見逃さない。一本杖とは、一本の長い棒をストックとして用いる流儀。カヌーを漕(こ)いでいるような感覚だ。テレマークとは、踵(かかと)を固定せずに滑りと歩きを両立させた技術。自由度の高さと、某ショップの「変わり者のスキー」という謳(うた)い文句が、心を掴(つか)んで離さない。
 やるべきことは決まった。集めた道具を携え、いざ練習開始。不慣れなスタイルに恐怖心を捨てきれないが、先人たちはこれで滑っていたのだ。ならば私にもできるはず。ゆったりと、風雅に、奥ゆかしく乗り込んでゆく。そんな古風なスキーは、間違いなく自分らしい浪漫に溢(あふ)れている。
 これぞ、私だけの「シーハイル」。ドイツ語で「スキー万歳」を意味するこの言葉も、日本では既に過去のもの。だからこそ、自分のスキーを表す言葉にぴったりだ。
 これでようやく、今のアルペンスキーにも胸を張って打ち込むことができる。

写真:「変人」は褒め言葉!
写真:「変人」は褒め言葉!















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