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『命との共生』
大岡ひじり学園
山村留学指導員 横山みのり
学園で鶏と烏骨鶏(うこっけい)の雛(ひな)が生まれた。フワフワとした小さい命たちは大岡の冬の寒さの中、身を寄せ合って生活している。
九月の終わり、学園生の一人が受け入れ農家さんからいただいてきた鶏の卵を、孵卵器(ふらんき)で育て始めた。子どもたちは孵卵器の中でコロコロと回転する卵を観察しながら、「何羽生まれるかな?」とにこやかに話をしていた。
十月の半ばになると一羽目が孵化し、ヒビの入った一つの卵からはクチバシがのぞいていた。子どもたちは連日巣箱と孵卵器の周りに集まり、雛の様子を観察しながら、新たに加わった仲間の誕生を喜んでいる。私は厨房から指導者室に戻る道すがら、その光景を懐かしい気持ちで眺めていた。
私が大岡で働き始めた一年目の冬、ちょうど今と同じくらいの時期に烏骨鶏の卵を孵化させる計画が始まった。しかし、十数個以上の卵から生まれたのはそのうちの四割ほど、そこから更に生き延びることができた雛はごくわずか。結果、無事に成長できたのは二羽のみであった。その雛は弱弱しく、スポイトで水を飲ませていたほどだったが、今では立派な雌鶏となってセンターの鳥小屋を賑(にぎ)わせている。私はその時、期待と共に生まれては消えていく命に子どもたちと共に涙しながら、命の尊さを改めて学んだのだ。
今年の夏、子どもたちが経験した愛犬ポランの死と、この冬、センターで生まれた新たな命。
異なる生き物と共生し、その生命の始まりと終わりに寄り添いながら暮らす。そんな長きに渡る自然の営みを、一年を通して体験した子どもたちにとって、今回の雛の誕生は新たな原体験の一つになっているのではないかと思う。
私は今日も、センター中に響く力強い鳴き声に、「大きく育て。」と願いを込めて、子どもたちと巣箱をのぞき込む。この命が長く続いていくよう見守っていきたい。
写真:ヒヨコと孵卵器と学園生たち
