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忘れゆく「旅」のありかた

山村留学指導員 山口楓雅

 今年度、夏季行事の新たな試みとして、上級者向けの「アドバンスコース」を実施した。利賀を出発し、廃れた旧道や集落跡地を通り抜け、街を目指して歩き続ける5日間の旅。コンセプトは、車が  なかった時代の交通を再現すること。参加者の子どもたちは、道中たくさんの苦難に見舞われながらも、見事、目的地の福野駅まで踏破。城端線に乗車し、流れゆく車窓を眺めて、呟(つぶや)く声が聞こえた。
「車とか電車って、偉大だなあ。だから、僕らが歩いてきた道は忘れられちゃったんだなあ。」

 私は旅が好きだ。「Travel」でなく、「Journey」が好きだ。観光地のホテルでゆったりとしたひと時を楽しむ「旅行」ではなく、冒険心を掻(か)き立てるような過程と体験が待っている「旅」が好きだ。重要視したいのは交通手段。理想は最も遅く、過酷で、原始的な、徒歩で移動すること。より前時代的な移動手段を用いる旅は、自分の見ていた従来の世界に新たな色づきを与えてくれる。
 アドバンスコースで歩いた軌跡は、既に使われていない旧道が大半であった。現代の発達した交通技術が、この道を過去に忘れられた存在にしてしまった。でも、この数日「僕ら」はここで確かに生きていた。城端線の中で呟いた彼は、そんな色づきに自ら気が付くことができたのだろう。それだけでも、今回の活動を企画した意味があったと喜べる。
 技術が発展すると、それまで使ってきたものは忘れられ始めるのが世の理。しかし、「歩く」ということは最も原始的にもかかわらず、誰もがこれからも忘れることのできない、世界で最も発展し、普及した旅の手段だ。
 「歩く」ことを重視する山村留学。山、森、村、通学路、地域中を歩き続ける子どもたちの旅を、これからも一緒に楽しんでいきたい。

写真:新旧の旅路が見渡せる、利賀の好きな風景
写真:新旧の旅路が見渡せる、利賀の好きな風景















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