« 通学合宿 | メイン | 忘れゆく「旅」のありかた »
テルの生態
八坂美麻学園
山村留学指導員 高橋菜花
八坂・美麻学園に六代目のテル(柴犬)がきて、ちょうど一年が経つ。学園生は相変わらず彼を溺愛しており、学校から帰ってくると、一目散にテルのもとに走って行って「ただいま?」と撫(な)でまわしたり、落ち込んだ時に自然とテルのもとに寄って行って、癒しを貰(もら)っていたりする。
テルは散歩が大好きで、道草の名人である。気になった場所は藪(やぶ)のなかでも、急斜面でも猪突猛進(ちょとつもうしん)。地面に鼻をめり込ませて辺りを嗅ぎまわり、かなり小さな虫から獣の形跡まで、何でも見つけ出す。動くものに強い興味を示し、最近はカエルを追いかけまわすことに夢中。ある時は、自身の倍以上に体格のあるカモシカに立ち向かっていた。冬は嬉しそうに雪の上を走り回り、道路が除雪されると、雪が積みあげられて小高くなっている場所ばかり好んで歩いていた。そんな調子で、普通に歩けば十五分ほどの道のりを、一時間かけて歩くこともある。あまりにマイペースな時は急かすが、自分の思い通りにならないと座り込んで抗議してくる。日に二回の散歩が彼の楽しみなので、できるだけ付き合ってあげたいが、人間側には予定というものがあるので、その折り合いが難しいなと感じている。
そんな自由奔放さに振り回されることもあるが、実はこの散歩の時間こそが私の最近の楽しみである。それは学園生も同じで、みんな嬉しそうに散歩に出かけていき、「テルがこんな事してた!」「こんな物を見つけた!」と道中で見たものや、気付いたことを自慢げに教えてくれたりする。
「みんなの心の指導員」として紹介されるテルだが、彼の存在は本当に、学園生や指導員の心を癒し、さまざまな発見をくれる。だからこそ、これからもできる時は、いくらでも道草に付き合ってあげようと思う。
写真:一緒に道草
