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「個人体験の伴走者」

山村留学指導員 柴田絢

 子ども達の入村とともに、私自身の山村生活が始まり、早くも六ヵ月が経とうとしている。自然の中で生活していると、自分が生まれるよりはるか前からこの地を生き抜いてきた自然の生命力に感心させられる。そして、その自然を利用してきた人々の暮らしの知恵に多くを学ぶ。これに気づけただけでもここに来てよかったと感じ、毎日伸び伸びと過ごしている。この体感を留学生にも感じ取ってもらう機会として、個人体験が楽しみである。

 一方で、私自身の自然体験が限られているがゆえに、子ども達に自然の魅力を伝えきれないもどかしさがある。ヘビや虫に詳しい指導員、木々や農作業に詳しい指導員には、自然と子どもの関心が集まりやすい。東京で生まれ育った私には何を伝えることができるか、個人体験のスタートで楽しみな気持ちと不安な気持ちがあった。
 一人、個人体験のテーマがきまらない留学生がいた。私もその子のきっかけづくりになればと、いろいろな活動に誘う。草木染め、畑、口にできる山菜などとにかく何でも行動を共にして、一つ気付いたのは、彼女が火起こしをいつもやってくれたことだった。私のために火をつけてくれる彼女の真剣な表情が残っていたので、それを伝えると、彼女自身気付いていなかった火起こしの楽しい気持ちが派生して、五右衛門風呂をやってみたいというテーマにたどり着いた。私の指導員として、持っている知識や経験は浅い。しかし、留学生と時間を共にして、気付くこと、その子が輝くことを拾ってあげるのも、指導員としての関わりの一つなのかもしれない。
 都会の暮らしに慣れている子ども達に、自然へ関心を向けさせるのは難しいが、寝食を共にして彼らが気付いていない成長や関心にスポットライトを当てるような伴走者になれるよう、今後の個人体験も見守っていきたい。

写真:試行錯誤しながら火起こしをする留学生
写真:試行錯誤しながら火起こしをする留学生















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