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『ポランとの時間』

山村留学指導員 大嶋しおり

 センターで飼っていた甲斐(かい)犬ポランが亡くなった。命日は7月20日、良く晴れていて、暑い夏の日。活動を中断して、蚊取り線香の香りと学園生みんなが摘んだ野草でポランを見送った。

 私が最初にポランに出会ったのは、育てる会に入職した時なので、もう14年前。大岡のセンターに来て最初の仕事は、「とりあえずポランの散歩行ってきて?」だった。その時の私は動物が苦手で、犬の散歩をしたことがなかったので、学園生にリードの付け替えや持ち方を教わって、男らしい狂暴なポランを前に、「気持ちが大事!舐(な)められてはいけない」と強く心に思いながら散歩をしたことを覚えている。
 散歩のときは、人を引きずるくらい力強く歩き、時に止まって野生動物に向かって吠(ほ)える。餌を上手にあげないと唸(うな)ってくるし、噛(か)まれる。首輪が切れて、ポランがいなくなっているときは、近所の犬にポランがとびかかっていることもあった。棒やロープを使って、気が立っているポランを引き離すにはかなり勇気が必要だった。ポランがとびかかった犬の家の人に謝るのも勇気が必要だった。
 でも、やっぱりかわいい。大岡ひじり学園では、凛(りん)とした立ち姿のポランは学園のロゴになりそうなくらい様々な場で使われる。散歩中の休憩で、リードを柱に引っかけて、草むらでのんびりしていたら、ポランに顔をなめられた。 
 お爺(じい)さんになったポランは、毎日元気よく出発していく学園生を見届け、ただいま?と帰ってくる学園生を穏やかに迎える。いつの間にか、ポランの散歩当番ではなく、ポランが私たちの散歩に付き合ってくれていた。歩きながらポランに話す心のいろいろを、何でも受け止める目で返す。
 時折、センターに顔を出す修園生は、ポランのお墓に花を添えて手を合わせていく。きっと、いろんな思い出をポランに話かけているのだろう。

写真:ポラン8歳、リヤカーキャンプにて
写真:ポラン8歳、リヤカーキャンプにて















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