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『心に刻み込まれるような体験』

山村留学指導員 伊藤僚

 子どもたちの成長において、心に刻みこまれるような体験をすることは、何よりも大切だと感じる。山村留学の中で、特に船舶・登山の活動は、自然と対峙(たいじ)する中で、克己心を培う体験活動と位置づけている。6月7日、8日に行った諏訪湖での船舶海洋体験で、まさにそれを実感した。

 この活動は、年1回の恒例行事で、2日間かけて船の歴史を追体験することをテーマに、手漕(こ)ぎ・風力・モーターボートの3種類の船の違いを体験する。また、風力を使ったセーリングの活動では、10人乗り、3人乗り、そして最後は一人乗りへとステップアップすることができる。一人乗りは、船の準備から出航、帰着まで、途中でどんなトラブルがあっても、自分の知恵と力で帰ってこなければならない。これに必要な力が克己心(自分に打ち克つ力)だ。
 今回は天候に恵まれて、2日間十分に活動をすることができた。最終日の午後は、7人の子どもたちが一人乗りに挑戦した。最初は不安そうだった子も、周囲の励ましに背中を押されて挑戦を決意。2時間あまりの活動を終え、全員が自力で帰港することができた。
 今回の船舶の活動後の作文からは、「風の変化を感じる面白さ」「自力で帰ってこれたこと」など、「一番心に残った体験」は一人ひとり違うが、湖へと漕ぎ出し、活動を終えて帰ってきた時の「挑戦してよかった!」という言葉と表情からは、安堵(あんど)と達成感があふれるように伝わってきた。指導者冥利に尽きる瞬間だ。自分の力で自然に向き合った体験は、子どもたちの心に深く刻まれたはずだ。

風と向き合う
写真:風と向き合う















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