豪雪の風景
南砺利賀みらい留学
山村留学指導員 松浦実穂
二月四日、南砺市に大雪警報が出た。子どもたちはホームステイで各家庭に滞在中だ。いそいそと荷物をまとめて、部屋を借りている教員宿舎への帰路につく。普段は町に帰っていく学校の先生方の車も、この日は宿舎にたくさん停められていた。
その晩からよく積もった。朝、窓から外を見ると、降り続く雪で真っ白の世界。いまいち見えない先に目を凝らすと、家々の一階が埋まっている。村内の方からの連絡は全て、枕詞に「すごい雪ですね」「降りましたね」などなど。そりゃそうだ! と思いながらその先の二言目に驚く。「まっ 利賀にとってはこれくらい普通ですかね」と俯瞰(ふかん)してみたり、「どうせ春には融けるのに!」と努力の跡がいずれ儚(はかな)く消えていくことをぼやきながら除雪に励んだり。豪雪とともに生きてきた利賀の人々ならではの言葉だろう。たくましさと微かなユーモアに心が温まる。
車庫の前の雪を除けて、昼過ぎに郵便局へ向かった。降りしきる雪の中、道路はきれいに除雪され、屋根の上には雪下ろしに精を出す人も。郵便局へ着くと、局員さんが掘り出してくれたのだろう赤いポストが雪に映えていた。
三年前、初めて利賀の大雪を過ごした新鮮な楽しさとはまた違う心の余裕を持って豪雪の風景の内にいると、しみじみ思う。雪国の冬に働き、生活する利賀の人々の姿は強く美しい。
留学生はホームステイ先で、雪下ろしの大変さを味わっているだろうか。これを機に、もっともっとすごかったという昔の豪雪の話をしてもらっているだろうか。お兄さんがいるお宅では、昼夜問わず除雪に出ていく後ろ姿も見ていることだろう。
雪はその後もどしどしと降り続いている。豪雪の風景が、彼らに根を張る体験のひとつになればと思う。
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写真:晴れ間がのぞくひととき
